2008年12月14日日曜日

影が形に添うごとく


「お察しの通り、今こそお暇を頂きとう存じます。

こ度の件ではっきりと思い知ったことがございます。

(略)

徳川か薩摩か、万が一さようなしぎに立ち至れば、私は間違いなく天璋院様の足手まといとなりましょう。
かような者は、天璋院様のお側にいることはできません。

そして、私からお教えすることはもう何一つ残っておりませぬ。
私の務めは終わったのでございます。」
  
   
    NHK大河ドラマ『篤姫』#31 さらば幾島(幾島の台詞より)


私が、『篤姫』の中で最も感動したシーンの一つがここです。
幾島役の松坂慶子さんがどのような人柄の人なのかは知らないのですが、このドラマを見て、きっと愛情深い人なんだろうなぁって思いました。それほど、一言一言の言い方がとても優しくて頼もしくて落ち着きがあるんです。愛情が伝わってくるような言い方なんです。
そんな幾島の退職シーンがここでした。

ああ、こういう退職の理由もあるんだなぁって思いました。
私もやりたいことがあって、一度辞職した経験があるし、私の周りでも会社を辞めた人、辞めようとしている人、辞めたい人が何人かいます。
普通は、「もっとやりたい職種があるから」とか、「今の職場が合わないから」とか、みんな自分のことを考えて辞めるんですよね。でも幾島は、自分と相手の思いが違ってしまったときに、相手の考え方を尊重する手段として退職の道を選びました。
この時代の別れとはとても寂しい。でも、親心のような優しさを感じる選択なんです。
とても感動しました。

そのときの回想シーンで、幾島が篤姫の教育に携わるときに言った台詞があります。

「影が形に添うごとく、姫様のおそばにあって
お世話をいたす所存にございます」


このくらいの決意があるから、どんなときでも親身に思いやれるんだなぁって思いました。
そして綺麗な決意の言葉だと思います。

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